防災セットを買う前に読め。人気キャンパー・ヒロシが語る、本当に命を守るための思考法
導入:あなたの防災、本当に大丈夫?人気キャンパー・ヒロシが投じる「常識への一石」
「災害に備えて、キャンプ用品を揃えておくと安心だ」
「万が一のために、枕元には靴を置いて寝るべきだ」
あなたも一度は耳にしたことがある、防災の“常識”ではないでしょうか。防災意識の高まりとともに、多くのメディアで語られ、半ば思考停止で「そういうものだ」と受け入れてしまっているかもしれません。しかし、本当にそれで、あなたとあなたの大切な人の命は守れるのでしょうか?
この常識に、真っ向から「NO」を突きつける人物がいます。ソロキャンパーとして絶大な人気を誇る芸人・ヒロシさんです。彼はYahoo!ニュースのインタビューで、こう断言しました。「キャンプをやっていると防災に役立つみたいなのはこじつけだと思っているんですよ」「枕元に靴は置いていません」と。
多くの人が信じてきた防災のセオリーは、ただの思い込みだったのでしょうか?なぜキャンプの達人である彼が、キャンプと防災を切り離して考えるのか。その言葉の裏には、私たちがつい見過ごしてしまう、災害の“不都合な真実”が隠されていました。
この記事では、ヒロシさんのリアルな視点を通して、「モノを備えるだけの防災」から脱却し、「自分の頭でリアルな状況を想像する防災」へとシフトするための本質的な思考法を解き明かしていきます。もしあなたが、押し入れに防災セットをしまったまま安心しているなら、この記事を最後まで読んでみてください。きっと、あなたの防災意識は根底から覆されることになるでしょう。
1. なぜ「キャンプと防災はこじつけ」なのか?ヒロシが語る非情なリアル
多くの人が「キャンプスキル=サバイバルスキル」と考えがちです。しかし、ヒロシさんはその安易な結びつきをバッサリと切り捨てます。彼が「こじつけだ」と断言する理由は、理想論では語れない、災害現場のリアルな状況認識にありました。
都会の真ん中で焚き火や釣りをしますか?
キャンプの醍醐味といえば、焚き火や自然の中での食料調達。これらが災害時にも役立つと思っていませんか?ヒロシさんは、自身の経験からその考えの甘さを指摘します。
キャンプを始めたばかりの頃は、一個ザックをつくって、濡れても大丈夫な火おこしの道具とかを入れたりしたんですよ。何かあったらこれで、って。でも、災害の時に焚き火しないですよね? まちなかで焚き火やれないですよ。
確かに、コンクリートとアスファルトに囲まれた都市部で、許可なく焚き火をすれば、火事のリスクや煙の問題で通報されてしまうのが関の山でしょう。さらに彼は、サバイバルキットに入っていそうな釣り針についても、こう続けます。
釣り針とかもザックに入れてましたよ。でも、都会のどこで釣りするんだ? 池の鯉を釣ったとして食うのかい?という。
この言葉が浮き彫りにするのは、「キャンプ(娯楽)」と「災害(現実)」の決定的な違いです。キャンプは、安全が確保された環境下で、自ら非日常を楽しむ能動的な行為。一方、災害は、安全が脅かされた状況で、生き延びることを強いられる受動的な事態です。同じ「生きるための技術」に見えても、その前提条件が全く異なるのです。
避難所より「在宅避難」がベストな理由
災害が発生すれば、すぐに避難所へ向かうのが正解だと思っていませんか?ヒロシさんは、その選択肢にも疑問を呈します。
ぼくは見知らぬ人が大勢いる環境がものすごく苦手だから、自宅が倒壊したりしない限り、家にいるのがベストだと思っていて。
これは単なる好き嫌いの話ではありません。プライバシーがほとんどなく、ストレスの多い避難所生活は、心身ともに大きな負担を強います。感染症のリスクも高まります。だからこそ、自宅が安全である限り、住み慣れた家で過ごす「在宅避難」が、現代の都市型防災の基本となりつつあるのです。
この「在宅避難」という視点に立つと、防災グッズの考え方も大きく変わります。寝袋やマットも、避難所では役立つかもしれませんが、「だったら布団でいいじゃないですか」というヒロシさんの言葉通り、自宅にはもっと快適なものがあります。私たちが本当に備えるべきは、避難袋に詰め込むサバイバルグッズではなく、ライフラインが止まった自宅で数日間を乗り切るための備えなのです。
2. 【結論】防災のプロも認める。ヒロシが選ぶ「本当に役立つ防災グッズ」はこれだ
キャンプ用品の多くを「こじつけ」と切り捨てたヒロシさんですが、それでも「キャンプをしない人にもおすすめしたい」と語る道具が二つあります。それは、彼の徹底したリアリズムから導き出された、まさに生命線とも言えるアイテムでした。
命の優先順位No.1は「水」。携帯浄水器という選択肢
ヒロシさんが防災において最も重要だと断言するもの。それは「水」です。
災害時に一番大事なのは水だと思っているからです。多少腹が減っても死なないけど、水がないと死ぬんで。
多くの人がペットボトルの水を備蓄していますが、それだけで十分でしょうか?家族4人が3日間過ごすために必要な水の量は約36リットル。保管場所もさることながら、給水車が来たとしても、赤ちゃんやお年寄りが優先される中で、健康な大人が我先にともらいに行くのは現実的ではありません。
そこでヒロシさんが推奨するのが「携帯浄水器」です。これがあれば、地震発生直後に溜めたお風呂の残り水や、近所の川の水ですら、ろ過して安全な飲み水に変えることができます。雨水も貴重な水源になります。
携帯浄水器は、単に飲むためだけではありません。ヒロシさんが言うように「濾過して煮沸すれば、からだを拭くとかには使える」のです。衛生状態が悪化しやすい災害時において、身体を清潔に保つことは、体調管理や感染症予防の観点からも極めて重要です。
【携帯浄水器の選び方のポイント】
- ろ過能力:細菌や微生物をどの程度除去できるかを確認しましょう。0.1ミクロン程度のフィルター性能があれば安心です。
- 浄水能力(ろ過水量):一つのフィルターで何リットルの水を浄水できるか。家族の人数や備蓄日数に合わせて選びましょう。
- タイプ:ボトルタイプ、ストロータイプ、ポンプタイプなどがあります。使い方をシミュレーションして、自分に合ったものを選びましょう。
在宅避難を支える、その他の必需品
水と並んで、在宅避難で生命維持に直結するのが「トイレ」の問題です。断水すれば、マンションでも戸建てでもトイレは使えなくなります。そこで必須となるのが「携帯トイレ・簡易トイレ」です。最低でも1人1日5回分×家族の人数×7日分を目安に備蓄しておきましょう。
さらに、現代の災害において情報収集や連絡手段として不可欠なスマートフォンの電源を確保するために、「ポータブル電源」も非常に有効です。特にソーラーパネル付きのものなら、停電が長期化しても安心感が格段に増します。照明や扇風機など、最低限の文化的な生活を維持するためにも役立ちます。
3.【独自考察】ヒロシの哲学に学ぶ「孤独のサバイバル術」とは
ヒロシさんの防災論の根底には、彼の生き方そのものとも言える「孤独」を愛する哲学があります。それは、単に一人を好むというだけでなく、集団に依存せず、自力で生き抜くためのリアリズムに基づいています。この視点は、これからの防災を考える上で非常に重要です。
備えるべきはモノだけじゃない。「人間」という最大のリスク
災害時、「みんなで助け合おう」という言葉が美しく語られます。しかし、ヒロシさんはその性善説に冷ややかな視線を向けます。
ぼく、絶対に争いが起こると思うんですよね。メディアが言うほど日本人は行儀よくないと思っていて。(中略)平常時でそうなんだから、非常時に助け合いの精神なんか発揮されないとぼくは思うんですよ。
極限状態に置かれた人間が、常に理性的でいられるとは限りません。水や食料、貴重な物資を巡って、争いが起こる可能性は十分に考えられます。「飲める水がない、という時にぼくがこれ(携帯浄水器)を持って飲んでたら、誰かが盗みにきますよ」という彼の言葉は、最悪の事態を想定するリアリストならではの発想です。
彼が北海道のヒグマ対策で持っていた「クマ撃退スプレー」を、災害時の防犯グッズとして見立てたのは象徴的です。これは単なる護身用具という以上に、「自分の身は自分で守る」という覚悟と、「人間関係のトラブル」というリスクにまで想像力を働かせていることの現れと言えるでしょう。防災とは、自然の脅威だけでなく、極限状態における人間というリスクにも備えることなのです。
「枕元に靴を置かない」本当の理由
ここで、冒頭の「枕元に靴は置いていません」という言葉に戻りましょう。阪神・淡路大震災の教訓から、夜間の地震で割れたガラスなどから足を守るため、「枕元に靴を置く」ことは防災の常識とされてきました。
阪神・淡路大震災の教訓から、「枕元にスリッパを置く」ことが防災対策の知恵となっている。避難する際に思わぬけがをした方が多かったためであるが、ひとえにスリッパといっても多種多様。そこで足を保護するという観点から考えてみたい。
この常識に対して、ヒロシさんはなぜ「置かない」のでしょうか。元記事ではその明確な理由は語られていませんが、彼の哲学から推察するに、それは「そもそも室内が危険な状態にならないようにする」という、より根本的な対策を重視しているからではないでしょうか。例えば、
- 寝室にはガラス製品や背の高い家具を置かない。
- 家具は徹底的に固定する。
- 窓ガラスには飛散防止フィルムを貼る。
こうした対策を講じていれば、枕元に靴を置く必要性は低下します。「問題が起きてから対処する(対症療法的防災)」のではなく、「そもそも問題が起きないようにする(根本的防災)」という、ミニマリストでもある彼らしい本質的な思考がそこにはあるのです。
まとめ:今日から始める「自分だけの防災計画」。モノを備えるから、状況を想像する防災へ
ヒロシさんの防災論は、時に冷徹に聞こえるかもしれません。しかし、それは理想論を排し、命を守るという一点にフォーカスした、究極のリアリズムです。彼の言葉から私たちが学ぶべき最も重要なことは、「思考停止で備えるな。自分の頭で、自分の状況をリアルに想像しろ」というメッセージです。
防災セットを買って安心する時代は終わりました。これからは、あなた自身が防災プランナーになる必要があります。ヒロシさんの思考法を参考に、今日から「自分だけの防災計画」を始めてみませんか。
【自分だけの防災計画 チェックリスト】
- ハザードマップの確認:あなたの家は地震、洪水、土砂災害のリスクがありますか?
- 避難シナリオの想像:在宅避難が不可能になるのはどんな時ですか?(家屋倒壊、火災、浸水など)その場合、どこへ、どのルートで避難しますか?
- 在宅避難のシミュレーション:ライフライン(電気・ガス・水道)が7日間止まったら、何に困りますか?水、食料、トイレ、情報、暑さ・寒さ対策は万全ですか?
- 人間関係リスクの想定:もし物資が不足したら、近所の人とどう関わりますか?助けを求めますか、それとも距離を置きますか?
- 根本的な対策:家具の固定や家の耐震化など、被害を「未然に防ぐ」ための対策はできていますか?
防災に、誰にでも当てはまる唯一の正解はありません。あなたの住む場所、家族構成、そしてあなた自身の性格によって、最適な備えは変わります。ヒロシさんのように、常識を疑い、最悪を想像し、本質を見抜くこと。それこそが、情報が氾濫する現代において、本当に自分と家族の命を守るための、最強の防災術なのです。
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