【注意】親の死亡後、ATMでの現金引き出しは危険?元銀行員の解説を参考に!

銀行のATMの前でキャッシュカードを手に持ち、親の死亡後の現金引き出しについて悩んでいる人物の様子。 ライフスタイル
親のもしもの時、口座が凍結される前に現金を引き出す行為は、思わぬトラブルの原因になることもあります。

この記事のポイント

  • 「役所に死亡届を出したら即凍結」は都市伝説。本当の凍結タイミングは、銀行が死亡の事実を知ったときです。
  • 「凍結前なら大丈夫」とATMでお金を引き出すのは最悪の選択。借金まで相続するハメになったり、骨肉の争いに発展したり…そのリスク、知っていますか?
  • 葬儀費用など、どうしてもお金が必要な時は、国が認めた「相続預金の払戻し制度」という最強の裏ワザがあります。焦る必要はありません。
  • 結局、最強の対策は「事が起きる前」にあり。親が元気なうちの「エンディングノート」「生命保険」「親子のお金の話」が、あなたと家族を救います。

導入:「親が死んだら、まずATMへ走れ」…その“常識”、地獄への入り口かもしれません。

「親が亡くなったら、すぐに銀行口座が凍結されて1円も引き出せなくなる。だから、死亡届を出す前に、今のうちにATMで必要な分だけお金を引き出しておけ」――。

まことしやかに語られるこの“裏ワザ”、あなたも一度は耳にしたことがあるかもしれません。年末年始の帰省などで久しぶりに親の顔を見ると、つい、そんな「もしも」の時のことを考えてしまいますよね。

しかし、もしその“良かれと思って”の行動が、親が残した借金を丸ごと背負うことになったり、昨日まで仲の良かった兄弟と骨肉の争いを繰り広げる引き金になったりするとしたら…?

LIMOが報じた元銀行員による解説が警鐘を鳴らすように、親の死亡後の口座の扱いには、多くの人が知らない、あまりにも危険な「落とし穴」が隠されているのです。

この記事では、あなたの「もしも」の時の不安を「安心」に変えるため、プロの目線で以下の点を徹底的に、そして生々しく解説していきます。

  • 銀行口座が本当に凍りつく「その瞬間」とは?
  • なぜATMでの引き出しが「人生を狂わせる一手」になり得るのか?
  • 凍結後でも合法的にお金を引き出せる「唯一の切り札」
  • 究極の対策は「事が起きる前」にある。親子でできる最強の備えとは?

正しい知識は、あなたと、あなたの愛する家族を守る最強の武器になります。さあ、誰も教えてくれなかった「お金の不都合な真実」を覗いてみましょう。

「役所に届けたら即凍結」は真っ赤なウソ!銀行口座が凍りつく、本当の瞬間とは?

「役所に死亡届を出したら、その情報がオンラインで全銀行に共有され、一瞬で口座が凍結される」――あなたも、そう思っていませんか?

ハッキリ言います。それは、完全な都市伝説です。役所と銀行の間で、死亡情報が自動的に連携されるようなSF映画みたいな仕組みは、今の日本には存在しません。

では、一体いつ、銀行は口座名義人の死を知り、その口座にガッチリとロックをかけるのでしょうか?

口座凍結はたった一つ、「銀行が死亡を知ったとき」

答えは驚くほどシンプル。口座が凍結されるのは、「銀行が、その口座の名義人が亡くなったという事実を知ったとき」、ただそれだけです。逆に言えば、銀行が知らない限り、口座は生き続け、ATMも使えてしまう…。この「タイムラグ」こそが、危険な誘惑を生む元凶なのです。

前述のYahoo!ニュースに掲載された元銀行員の解説によれば、銀行が死亡の事実をキャッチするルートは、主にこの3つです。

  1. 家族(相続人)から死亡の連絡を受けたとき
  2. 新聞のお悔やみ欄に掲載されたとき
  3. 銀行員が葬儀の案内を見たり、参列したりしたとき

どうです?この中で圧倒的に多いのは、やはり「1. 家族からの連絡」なんです。つまり、あなたが相続手続きのために銀行に電話をかけた、その瞬間にはじめて、銀行は「〇〇様はお亡くなりになりましたか。では、これより口座を凍結させていただきます」となるわけです。

この仕組みを知ると、「じゃあ、家族が連絡する前にATMで引き出せばバレないじゃないか!」と考えてしまいますよね。しかし、その安易な一歩が、取り返しのつかない悲劇につながるのです。

なぜ、凍結前のATM引き出しは“地獄への片道切符”なのか?絶対に避けたい3つの落とし穴

「バレなきゃいい」「葬儀費用で必要なだけだから」。その甘い考えが、あなたの人生を狂わせるかもしれません。たとえ1円であっても、正式な手続きを経ずに故人の預金に手をつける行為は、想像を絶する3つのリスクをあなたに突きつけます。

リスク1:親の借金も強制相続!恐怖の「法定単純承認」スイッチ

私が最も恐ろしいと考えるのが、この「法定単純承認」のワナです。想像してみてください。あなたが知らなかった親の借金、その返済義務が、ある日突然あなたの肩にのしかかってくる光景を。

本来、親に多額の借金があれば、あなたは「相続放棄」という手続きをすることで、その返済義務から逃れることができます。しかし、相続財産に手をつけてしまうと、話は変わります。法律は、その行為を「亡くなった方のプラスの財産もマイナスの財産も、すべて受け継ぎます」という意思表示だと見なしてしまうのです。

遺産に関して一定の行為を行った場合には、相続を承認したものとみなされてしまい(これを法定単純承認といいます)、相続放棄ができなくなってしまう場合があります。

相続放棄と法定単純承認|法律コラム

あなたがATMで引き出したその1万円が、まさにこのスイッチを押す行為になりかねません。「葬儀費用のため」という善意の言い訳は、法律の前では無力です。親の全財産を把握する前に、親の死亡後にATMに触れることは、時限爆弾のスイッチを押すようなものだと肝に銘じてください。

リスク2:「兄さんが使い込んだ!」骨肉の争いを引き起こす“疑惑の現金”

「うちは家族仲がいいから大丈夫」。そう思っている人ほど危険です。お金は、いとも簡単に人の心を変えてしまいますから。

あなたが良かれと思って、父親の死後、ATMから葬儀費用として100万円を引き出したとしましょう。しかし、その事実を後から知った他の兄弟の目にはどう映るでしょうか?「なぜ相談もなしに勝手にお金を使ったんだ」「本当に100万円全額を葬儀に使ったのか、証拠を見せろ」「他にも隠しているんじゃないか…?」

一度生まれた不信の種は、あっという間に育ち、遺産分割協議という名の戦場で憎しみの花を咲かせます。あなたの善意は「横領」という言葉にすり替えられ、家族の絆は修復不可能なほどに引き裂かれてしまうのです。

リスク3:税務署はすべてお見通し!“使途不明金”という名のペナルティ

忘れてはいけないのが、税務署という存在です。彼らは、あなたが思うよりずっと鋭い。相続が発生すれば、亡くなった方と家族の口座を過去数年分、徹底的に洗い出します。

その調査の過程で、死亡直後にATMから不自然な出金記録が見つかったらどうなるか?当然、税務署は「このお金は一体何ですか?」と、あなたに鋭い質問を投げかけます。

もし、領収書もなく使途を明確に説明できなければ、最悪の場合、そのお金は「あなたが親からこっそり贈与されたもの」と見なされ、重い相続税や贈与税を課されることになります。ほんの出来心で引き出した数十万円が、結果的に何倍もの税金となってあなたに襲いかかってくるのです。

【合法的な裏ワザ】凍結口座からお金を引き出す、国が認めた唯一の“正攻法”

「わかった、ATMがダメなのはよくわかった。でも、葬儀代や未払いの入院費で、本当に今すぐお金が必要なんだ!」…ええ、分かります。その切実な叫び。

ご安心ください。そんなあなたのための「切り札」が、ちゃんと国によって用意されています。それが「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」。これこそが、凍結された口座から堂々とお金を引き出せる、唯一の正攻法です。

この制度を使えば、面倒な遺産分割協議が終わるのを待たずとも、他の相続人全員のハンコがなくても、あなた一人の手続きで、まとまったお金を手にすることができるのです。

Step 1: いくら引き出せる?上限額のルールを把握する

まず、この制度でいくら引き出せるのか、そのルールを理解しましょう。計算式は少し複雑に見えますが、要は「法定相続分の一部を前借りできる」というイメージです。

【引き出し可能な上限額】 = 故人の預金残高 × 1/3 × あなたの法定相続分

ただし、どんなに大金持ちでも、一つの金融機関からは最大150万円までというキャップがはめられています。

(例)預金残高900万円、相続人が配偶者と子供2人(法定相続分:配偶者1/2、子供1/4ずつ)の場合

  • 配偶者: 900万円 × 1/3 × 1/2 = 150万円(これが上限!)
  • 子供1人あたり: 900万円 × 1/3 × 1/4 = 75万

どうでしょう?これだけの金額があれば、当面の葬儀費用や支払いは十分に賄えるはずです。

Step 2: 書類との格闘!でも、今は少し楽になった?

次に、銀行の窓口に提出する必要書類を準備します。正直、これが一番の山場かもしれません。

遺産分割前の相続預金の払戻し制度を利用するに当たっては、本人確認書類に加え、概ね以下の 書類が必要となります。ただし、お取引金融機関により、必要となる書類が異なる場合がありま すので、くわしくは、お取引金融関にお問い合わせください。

遺産分割前の 相続預金の 払戻し制度 – 全国銀行協会

具体的には、以下のような書類が必要です。

  • 故人の出生から死亡までがわかる戸籍謄本一式
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • あなたの印鑑証明書
  • あなたの本人確認書類(運転免許証など)
  • 銀行指定の申請書類(例えば三井住友銀行なら「相続に関する依頼書」といった書類です)

特に「故人の戸籍謄本集め」は、本籍地があちこちにあると本当に骨の折れる作業でした。しかし朗報です!2024年3月からは制度が変わり、最寄りの役所で全国の戸籍謄本をまとめて取得できるようになりました(ゆうちょ銀行のサイトでも案内されています)。これで、あなたの負担はかなり軽減されるはずです。

Step 3: いざ、銀行の窓口へ!

書類が揃ったら、いよいよ銀行の窓口での手続きです。不備がなければ、通常1週間から2週間ほどで、あなたの口座にお金が振り込まれます。

ただし、見ての通り、手続きにはそれなりに時間がかかります。「明日お金が必要!」という状況では間に合いません。事が起きたら、まずは落ち着いて取引金融機関の相続専門ダイヤルに電話し、「払戻し制度を使いたい」と伝えることから始めましょう。

もう慌てない、争わない。親が元気なうちに仕込むべき「最強の防衛策」3選

さて、ここまでお読みになったあなたは、もう十分賢明なはずです。本当の解決策が「事が起きた後」の対処法ではなく、「起きる前」の準備にあることに。

親が元気で、まだ「もしも」が遠い未来の話だと思える今だからこそ、親子で仕込んでおくべき「最強の防衛策」を3つ、伝授します。

対策1:情報の“見える化”!エンディングノートという名の宝の地図

相続手続きで最初にぶつかる壁、それは「親の財産がどこにどれだけあるか、誰も知らない」という問題です。これを防ぐために、エンディングノートなどを活用し、情報の「宝の地図」を作ってもらいましょう。

  • どこの銀行に口座があるか(金融機関名・支店名・口座番号)
  • どんな生命保険に入っているか(会社名・証券番号)
  • 土地や株などの財産はあるか
  • 住宅ローンなどの借金は残っているか

ただし、一つだけ絶対に守ってほしいルールがあります。それは、キャッシュカードの暗証番号をそのまま書かないこと。あまりに無防備すぎます。保管場所を家族で共有したり、信頼できる一人にだけ口頭で伝えたり、ルールを話し合っておくことが重要です。

この一枚の紙があるだけで、残された家族の負担と時間は、劇的に削減されるのです。

対策2:口座凍結をスルーできる“飛び道具”!生命保険の魔法

ここで、私が「最強の飛び道具」だと考えているのが、生命保険です。なぜなら、死亡保険金は相続財産ではなく「受取人個人のもの」だから。

死亡保険金は、被保険者である被相続人の死亡を原因として、あらかじめその受取人として指定されている人に対して支払われる保険金です。

【預金引き出しは注意】相続放棄しても受け取ることができる財産がある?

これは何を意味するか?つまり、たとえ全ての銀行口座がガチガチに凍結されていても、受取人であるあなたが保険会社に請求すれば、比較的スピーディーに現金を受け取れるということです。葬儀費用など、必ず必要になるまとまったお金をこの保険金で賄えるように設計しておけば、預金を引き出せず慌てる、という最悪の事態を完全に回避できます。

対策3:最強の武器は“親子の対話”。タブーを破る勇気

そして、どんなテクニックよりも大切で、そして何より難しいのが、これです。そう、「親子でのオープンな対話」

お金や死の話は、どうしても気まずい空気が流れますよね。しかし、そのタブーを避けていては、いざという時に必ず後悔します。

この記事をきっかけに、「この間、親の死亡後のATM引き出しについての記事を読んだんだけどさ…」と、さりげなく話を切り出してみてはいかがでしょうか。そして、こんなことを話し合ってみてください。

  • どんなお葬式をしてほしい?費用はどれくらい考えてる?
  • 財産は、誰にどんな風に残したいと思ってる?
  • もし介護が必要になったら、お金のことはどうしようか?

こうした対話は、親の想いを未来につなぎ、残された家族が「どうすればよかったんだろう」と苦しむことを防ぎます。それは、何よりも尊い、家族の絆を確かめる時間になるはずです。

最後に:悲劇を避けるために、あなたが今日からできること

親の死後のお金の問題。それは、いつか必ず訪れる、しかし誰もが目を背けたい現実です。

親を失う悲しみは、計り知れません。そんな中で、お金のことで家族がバラバラになることほど、悲しいことはありません。この記事でお伝えしたかったのは、その悲劇を避けるための「知識」という武器です。

最後に、もう一度だけポイントを繰り返します。

  • 口座はすぐには凍結されない。だが、その油断が命取り。
  • ATMでの安易な引き出しは、百害あって一利なし。絶対にダメ。
  • 困った時は、国が認めた「相続預金の払戻し制度」を堂々と使う。
  • 本当の安心は、親が元気なうちの「準備」「対話」からしか生まれない。

知識は、あなたとあなたの家族を守る「鎧」になります。どうか、この記事を読んだ今日、少しだけ勇気を出して、未来の家族を守るための第一歩を踏み出してみてください。

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