「もう限界…」物価高と政治空白。総裁選で家計は救われるか？

「今すぐ、助けてほしいのに…」。スーパーのカートを押しながら、思わずそう呟いてしまった経験はありませんか？ これは、毎日新聞の記事で紹介された、ある買い物客の魂の叫び。しかし、もはや他人事ではありません。孫のために自分のおかずを諦めるおばあさん、具のないパスタで腹を満たす学生…。記録的な物価高は、静かに、しかし確実に私たちの日常を蝕んでいます。

一方でテレビをつければ、連日報じられるのは自民党総裁選のニュース。もちろん国のリーダー選びは大切です。でも、正直こう思いませんか？――「私たちのリアルな苦しみ、分かってる？」と。日々の食費を切り詰める私たちの現実と、永田町で交わされる政策論争との間には、あまりにも深い溝が横たわっています。これこそが、現代日本の「政治空白」の正体なのです。

この記事は、そんな人たちのために書きました。まず「なぜ、こんなにも値上げが続くのか？」その根本原因を、誰にでも分かるように徹底解剖します。次に、総裁候補たちが掲げる物価高対策が、あなたの家計を本当に潤してくれるのか、リアルな数字で辛口ジャッジ。そして最後に、政治の助けを待つだけでなく、明日から自分の力で家計を守り抜くための「最強の生活防衛術」を授けます。もう、ため息ばかりの毎日は終わりにしましょう。嘆きを力に変え、この時代を賢く生き抜くための羅針盤が、ここにあります。

「どうして、こんなことに…」と天を仰ぎたくなる毎日ですが、この終わりの見えない物価高の裏側には、実は3つの“犯人”が複雑に絡み合っています。そいつらの正体を、今から暴いていきましょう。

まず、最大の“主犯”として挙げられるのが、歴史的な円安です。ピンとこないかもしれませんが、これは海外からモノを買うときの「日本円の価値」が下がっているということ。あなたがスーパーで手にする輸入品、そのすべてに円安のコストが上乗せされていると考えてみてください。エネルギーも、食料も、その多くを輸入に頼る私たち日本人に、円安はボディブローのように効いてくるのです。

三井住友銀行のデータを見ると、その深刻さは一目瞭然。日本が輸入する「石油・石炭・天然ガス」の価格は、なんと4年前に比べて約1.8倍にもなっています（三井住友銀行「日本の物価高はなぜ起きる？原因や影響、対策を解説」より）。ガソリン代や電気代が悲鳴をあげるのも当然。パンの原料の小麦も、牛や豚のエサになるトウモロコシも、すべてが値上がりし、最終的に私たちの食卓に牙を剥いているのです。

この円安という逆風に、さらに追い打ちをかけているのが、世界中を巻き込む原材料価格の高騰です。毎日新聞が指摘するように、ロシアのウクライナ侵攻は小麦や天然ガスの安定供給を揺るがしました。さらに、コロナ禍からの経済再開で「さあ、消費するぞ！」と世界中の需要が一気に爆発したことも、価格を吊り上げる大きな要因となっています。

帝国データバンクの調査によれば、2025年に値上げが予定される飲食料品は、すでに前年の実績を軽々と超え、2万品目に迫る勢いだとか。これは、遠い国で起きた原材料パニックの津波が、時間差で私たちの食卓にまで到達している、何よりの証拠なのです。

そして、意外と見過ごせない第三の犯人。それが、日本のあらゆる現場で起きている深刻な人手不足です。トラックの運転手、工事現場の作業員、レストランの店員さん…。どこもかしこも「人が足りない」と悲鳴をあげています。企業は、人を集めるために給料を上げざるを得ません。そして、その上がった人件費は、当然ながら商品やサービスの値段に上乗せされます。

毎日新聞の記事でも、地方のバスや電車の初乗り運賃が次々と値上げされていると報じられていました。これも、運転手さんの人件費がサービス料金に反映された典型例。私たちの給料は一向に上がらないのに、社会を回すためのコストだけが静かに、そして着実に上昇していく…。なんとも皮肉で、厳しい現実がそこにはあるのです。

この出口なき物価高に、政治家たちはどんな処方箋を用意しているのでしょうか？ 10月4日に投開票を迎える自民党総裁選では、5人の候補者が「我こそは」と経済政策をぶつけ合っています。しかし、その耳障りの良い公約は、本当に私たちの生活を救ってくれるのでしょうか？ ここでは、各候補の政策を丸裸にし、あなたの家計に与えるリアルな影響をシミュレーションしてみます。

まず、各候補がどんな「切り札」を持っているのか、ざっと見てみましょう。読売新聞などの報道を分析すると、かつて不評だった「一律の現金給付」は鳴りを潜め、論戦のど真ん中にあるのは、そう、何を隠そう「所得税の減税」なのです。

５人は、ガソリン税の暫定税率廃止では一致し、参院選で公約とした一律の現金給付には否定的だ。その代わり、各候補は所得税の減税の制度で独自色を出している。

自民党 総裁選挙:候補者5人の主張を分析…物価高対策・外国人政策 … – 読売新聞オンライン

具体的に、各候補の主張はこんな感じです。（届け出順、三井住友DSアセットマネジメントのレポートなどを参考に作成）

• 小林 鷹之 氏：若者や現役世代に狙いを定めた所得税の定率減税（ただし期限・所得制限あり）
• 茂木 敏充 氏：数兆円規模のお金を地方に配る「生活支援特別地方交付金」を新設
• 林 芳正 氏：「実質賃金が1％くらい上がる」経済を目指し、中・低所得者には所得に応じた支援を行う
• 高市 早苗 氏：払った税金が少ない人には現金を給付する「給付付き税額控除」の導入
• 小泉 進次郎 氏：多くの人が恩恵を受けられる「所得税の基礎控除引き上げ」を検討

ご覧の通り、同じ「減税」というカードでも、誰に届けたいのか、その思想が全く異なります。茂木氏や林氏のプランは、私たちに直接お金が届くまでに、少し時間がかかりそうですね。

では、机上の空論はやめましょう。これらの公約が、私たちのリアルな家計簿に一体どれくらいのインパクトを与えるのか？ 主役は、あなたかもしれない「年収400万円の会社員、専業主婦の妻と子ども2人（高校生・中学生）の4人家族」。さあ、一緒に電卓を叩いてみましょう！

ケース1：小林氏の「定率減税」が炸裂したら？
このご家庭の場合、年間に払う所得税は大体7〜8万円。もし「所得税の10%を減税します！」となれば、手元に残るお金は年間7,000円〜8,000円アップ。すぐに効果は実感できますが、正直なところ、高所得者ほど減税額が大きくなるという特徴があります。

ケース2：小泉氏の「基礎控除引き上げ」が実現したら？
現在の基礎控除48万円が、仮に10万円アップして58万円になったとしましょう。すると課税対象の所得が10万円減るので、所得税率5%なら年間5,000円の負担減。金額は大きくないですが、所得に関係なく多くの人が恩恵を受けられる、公平性の高い仕組みです。

ケース3：高市氏の「給付付き税額控除」が導入されたら？
これは、所得が低く、そもそも税金をあまり払っていない家庭にとって最強の味方です。例えば、税金の控除額が1万円と計算されたのに、納税額が3,000円しかない場合、差額の7,000円があなたの口座に現金で振り込まれるのです。まさに、本当に困っている人に手を差し伸べる政策と言えるでしょう。

茂木氏と林氏の政策はどうなの？
茂木氏の「地方交付金」は、あなたの住む街が子育て支援や商品券配布などの形で使ってくれるかもしれませんが、「いつ、何が、いくらもらえるのか」が全くの未知数。林氏の「実質賃金1%アップ」は、実現すれば最高ですが、景気全体が良くならないと始まらない壮大な話で、即効性は期待できません。

【結論】もうお分かりですね。同じ物価高対策でも、誰の懐に、いつ、どれだけ届くのかは全く違うのです。今すぐ効果が欲しいなら減税策、苦しい家計をピンポイントで救ってほしいなら給付付き税額控除。さあ、あなたの家庭が本当に求めているのは、どちらでしょうか？ この視点を持つだけで、遠い世界の出来事だった総裁選が、一気に「自分ごと」になるはずです。

政治の対策を待つのも一手ですが、その効果があなたの口座に反映される頃には、家計は火の車かもしれません。この物価高という荒波を乗り切るには、国に期待するだけでなく、自らの手で家計の舵を取る「生活防衛術」が絶対に必要です。精神論は一切なし！ 明日からすぐに行動に移せる具体的なアクションプランを5つ、あなただけに伝授します。

家計改善の第一歩、それは聖域なき固定費の見直しです。毎月、思考停止で支払っているそのお金、本当に必要ですか？ まずメスを入れるべきは、スマートフォンの通信費と生命保険料。この二大巨頭です。大手キャリアから格安SIMに乗り換える。それだけで月数千円、年間なら数万円が浮くこともザラです。結婚した時に入った保険、見直さずに放置していませんか？ 子どもの成長に合わせ、不要な保障を解約するだけで、驚くほど保険料はスリムになります。

もしあなたがまだ現金払いをメインにしているなら、それは非常にもったいない！ 今すぐキャッシュレス決済に切り替え、「ポイ活」を始めましょう。コツは、使うカードやQR決済を数種類に絞り、ポイントを集中させること。そして、特定曜日にポイントが倍になるスーパーやドラッグストアを狙い撃ちするのです。「ちりも積もれば」なんて生易しいものではありません。これはもはや、現代の錬金術なのです。

ふるさと納税と聞くと、高級和牛や豪華な海産物をイメージしますか？ それはもう古い！ 生活防衛のプロは、お米、トイレットペーパー、ティッシュ、洗剤といった、どうせ買うしかない「必需品」を選びます。毎日新聞の記事でも紹介されていた「ふるさと納税でトイレットペーパーを買いだめした」という声。これこそ、実質2,000円の負担で大量の日用品をゲットできる、最も賢い防衛術なのです。

国の大きな政策ばかりに目を奪われてはいけません。実は、あなたが住む市区町村が、独自の支援制度を用意しているケースが多々あります。例えば、こんな制度が隠れているかもしれません。

• 子育てファミリーへの臨時おこづかい
• 水道料金の期間限定割引
• 省エネ家電への買い替えサポート
• おトクに買い物ができるプレミアム商品券

さあ、今すぐ自治体のホームページを開いて、「（あなたの市町村名） 物価高 支援」や「（あなたの市町村名） 子育て 補助金」と検索してみてください。申請しなければもらえない“隠れ給付金”が、あなたを待っているかもしれません。

食費を切り詰めるあまり、もやしと豆腐ばかりの食生活になっていませんか？ それでは心も体も持ちません。評論家の真鍋厚氏が警鐘を鳴らすように、物価高は単なる家計の問題ではなく、私たちの健康そのものを脅かす「栄養格差」につながりかねないのです（オトナンサーの記事より）。安くて栄養満点の鶏むね肉や豆腐、旬の野菜をフル活用しましょう。業務スーパーの冷凍野菜は、時間もお金も節約してくれる最高の相棒です。多めに作って冷凍する「作り置き」をマスターすれば、あなたはもはや食費節約の賢者です。

「この物価高、一体いつまで続くんだ？」誰もが抱くこの問いに、残念ながら明確な答えをくれる人はいません。円安、原材料高という根深い問題は、一朝一夕には解決せず、この苦しい状況はまだしばらく続くと覚悟すべきでしょう。しかし、私たちはただ指をくわえて待っているだけでいいのでしょうか？ 答えは、断じて「ノー」です。

この記事で見てきたように、まずは物価高の正体を正しく理解する。次に、政治家たちの言葉の裏にあるメリット・デメリットを見抜く。そして何より、自分自身でできる生活防衛術を、今日から一つでも実行してみる。その「知恵」と「行動」こそが、先行き不透明な時代を生き抜くための、あなただけの羅針盤になるのです。

もしかしたら、総裁選で誰がリーダーになろうと、明日からの生活が劇的に好転することはないのかもしれません。しかし、だからといって諦め、政治に背を向けてしまったら、一体何が変わるというのでしょうか。政治に無関心でいることは、私たちの未来を誰かに丸投げするのと同じこと。今回検証したように、候補者の政策一つで、私たちの家計は良くも悪くもなるのです。選挙の時だけではありません。「物価高」という切実な問題に、政治がどう向き合おうとしているのか。その動きを常に「自分ごと」として捉え、声を上げ続けること。あなたのその関心が、巡り巡って、あなた自身と、あなたの大切な人の食卓を守る最強の武器になるのです。