【解説】高市執行部、公明とのパイプ役ゼロで連立崩壊か?

国会議事堂を背景に並んで立つ自民党と公明党の旗。高市執行部の下で自公連立が決裂危機に瀕している状況を象徴している。 政治
高市執行部の発足により、長年の自公連立は重大な局面を迎えている。

この記事のポイント

  • 「話せる相手がいない」――高市新政権、発足と同時に26年の自公連立が崩壊の危機に。一体なぜ?
  • 原因は、公明党との”パイプ役”だった菅義偉氏ら重鎮を排除した「勝ち組」優遇人事にあった。
  • このままでは国会は麻痺し、あなたの生活に関わる予算や法案がストップ。最悪の場合、政権崩壊と大混乱も。
  • 高市総裁は”院政”を敷く麻生氏の操り人形となるか、敵に頭を下げて茨の道を行くか。究極の選択を迫られている。

「もう、終わりかもしれない」――発足と同時に始まった高市官邸と公明党の“冷たい戦争”

「高市総理、誕生」。自民党初の女性総裁として、華々しいスタートを切るはずでした。しかし、あなたもニュースを見て感じたのではないでしょうか?あの祝祭ムードの裏で、日本の政治を根底から揺るがす“地殻変動”が、すでに始まっていたことを。

26年間、日本の政権を支え続けてきた自民党と公明党の連立関係。それが今、まるで崩れかけた積み木のように、グラグラと揺らいでいます。公明党は高市新執行部に対し、公式に「大きな不安や懸念」を突きつけ、一部では「連立決裂も辞さず」という悲鳴にも似た声まで聞こえてくる始末です。

なぜ、こんな事態に陥ってしまったのか?単なる政策の違い?いいえ、問題はもっと根深く、ドロドロとしています。その正体は、「人間関係の断絶」。これまで自公の間に立ち、幾多の危機を乗り越える“潤滑油”となってきたキーマンたちが、忽然と姿を消してしまったのです。この記事では、この政治危機の深層をとことん掘り下げていきます。

「誰と話せばいいんだ?」公明党を絶句させた、あまりに“一方的”な高市人事

今回の亀裂の原因は何か。専門家たちが異口同音に指摘するのは、たった一つのキーワード、「パイプ役の不在」です。この異常事態を、政治ジャーナリストの田崎史郎氏はテレビ番組でバッサリとこう斬ります。

あの人事を公明党から見ると、公明党とパイプがある人がいない。誰と話をしたらいいんだろうとなる

【高市自民】公明と決裂危機 田崎史郎氏→これまで自公関係築いた剛腕大物3人の名前 全員が冷や飯ピンチ 高市執行部にパイプ役がゼロとデイリースポーツ

そう、全ての元凶は、高市総裁が断行した党役員人事にありました。この人事は、彼女を強力に後押しした麻生太郎副総裁の意向が色濃く反映された、いわゆる「勝ち組人事」。その結果、これまで公明党との対話の最前線に立ってきた実力者たちが、まるで邪魔者かのように、ことごとく執行部から弾き出されてしまったのです。

“勝ち組”だけが笑い、“負け組”は去る…自ら招いた対話不能の危機

デイリースポーツの記事が伝えるように、これまで自公関係の“心臓部”を担ってきたのは誰だったか。菅義偉前首相、木原誠二元官房副長官、そして石破茂前首相…。しかし彼らは総裁選で高市氏と敵対した「負け組」として、新政権の中枢から完全にシャットアウトされてしまいました。

その結果、何が起きたか?言うまでもありません。高市執行部と公明党の間に、まともに腹を割って話せる人間が一人もいなくなってしまったのです。毎日新聞専門編集委員の佐藤千矢子氏が指摘するように、「政策以前に人間関係が先。こんな関係疎遠な政権とは簡単に組めない」というのが公明党の偽らざる本音。今回の自公連立決裂危機は、高市総裁自らが招いた、深刻なコミュニケーション不全なのです。

なぜ安倍・菅・岸田はうまくいったのか?知られざる「調整役」たちの超絶交渉術

では、なぜこれまでの政権は、この厄介な関係をなんとか維持できたのでしょうか?答えは、歴史の中にあります。そこには常に、表舞台には立たない「調整役」たちの汗と涙があったのです。

「剛腕」菅義偉が握った蜜月関係の裏側

第二次安倍政権の「黄金時代」。その陰の立役者が、当時官房長官だった菅義偉氏でした。彼は公明党の支持母体である創価学会とも密に連携し、安保法制のような国家を揺るがす大問題でさえ、驚異的な粘りで合意へと導きました。彼一人の存在が、巨大な政権の安定装置そのものだったと言ってもいいでしょう。

岸田官邸の”隠れた実力者”木原誠二の根回し

記憶に新しい岸田政権では、官房副長官の木原誠二氏がそのバトンを受け継ぎました。田崎史郎氏によれば、岸田首相に代わって木原氏が公明党との泥臭い交渉を一手に引き受けていたと言います。こうした表には見えない地道な根回しこそ、連立政権の生命線だったのです。

「公明党あっての…」石破茂が見せた稀有な“謙虚さ”

高市氏の前の石破茂首相もまた、対話の重要性を誰よりも理解していました。「公明党あっての自民党だ」。田崎氏によると、石破氏はそう繰り返し、斉藤鉄夫公明党代表との対話を重ねることで信頼を勝ち取っていました。しかし、総裁選に敗れた彼もまた、新執行部では発言力を失いました。

お分かりでしょうか。彼らは単なる連絡係ではなかった。言うなれば、連立政権という複雑なエンジンを回し続けるための、不可欠な「潤滑油」だったのです。高市執行部は、この最も重要な部品を、自らの手で投げ捨ててしまったのです。

連立崩壊は対岸の火事じゃない!あなたの生活を脅かす3つの悪夢

「でも、それって永田町のゴタゴタでしょ?」――そう思ったあなた、それは大きな間違いです。この対立は、巡り巡って私たちの生活に直接的なダメージを与える可能性があるのです。考えられるシナリオを2つ、見ていきましょう。

悪夢1:暮らしを支える予算が通らない!国会完全ストップの危機

まず考えられるのが、国会の完全停止です。連立与党の足並みがそろわなければ、私たちの生活に直結する予算案や重要法案は、一切前に進みません。特に、高市総裁が掲げる保守的な政策、例えば「外国人政策」「歴史認識」の問題は、公明党にとって“絶対に譲れない一線”。海外メディアも報じるように、これらは公明党が突きつけた「レッドライン」なのです。もしここで衝突すれば、国会が麻痺し、私たちの暮らしを守るべき政策が宙に浮く、という悪夢が現実になりかねません。

悪夢2:政権崩壊、そして政治の大混乱へ…

もし対立が決定的になれば、最悪のシナリオ、「連立解消」が現実味を帯びてきます。そうなれば既に過半数を割っている自民党は更に与党としての力を失い、高市政権は一夜にして「死に体」と化すでしょう。内閣不信任案が可決され、総辞職に追い込まれる可能性すらあります。そうなれば海外メディアから「自民党将彻底丧失国会多数席位,陷入‘无执政基础’的瘫痪状态(自民党は国会の多数議席を完全に失い、政権基盤のない麻痺状態に陥るだろう)」と指摘されるように、日本政治は出口のない大混乱に突入します。

高市総裁、あなたの道は2つに1つ ―麻生氏の操り人形か、茨の道を行くリーダーか

さて、ここまで見てきたように、高市総裁はまさに崖っぷちに立たされています。彼女が選べる道は、残酷なまでにシンプルな二者択一です。

一つは、自らを総裁に押し上げた麻生副総裁の意向を汲み、公明党との対立を覚悟で「勝ち組」中心の政権運営を続ける道。これは自らの権力基盤を守るための道かもしれませんが、連立崩壊という時限爆弾を抱え続ける、あまりにも危うい綱渡りです。

もう一つは、麻生氏らと距離を置き、自らのリーダーシップで公明党との関係再構築に乗り出す「茨の道」。そのためには、一度は「負け組」の烙印を押した菅氏や石破氏といった重鎮たちに頭を下げ、助けを乞わなければならないかもしれません。党内の反発は必至。まさに、自らのプライドと政治生命を賭けた決断となるでしょう。

皮肉なことに、この危機的状況を生み出したのは、他の誰でもない高市総裁自身です。「勝ち組」への配慮を優先した人事が、政権そのものを吹き飛ばしかねない爆弾となってしまったのですから。日本の未来は、彼女がどちらの道を選ぶのか、その決断一つにかかっているのかもしれません。私たちは今、歴史の岐路を目撃しているのです。

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